私たちの研究を一言で表すなら、「量子 × 物性」です。
量子とは、電子や光子といったミクロな世界を支配する基本原理です。 一つの電子やスピンは、同時に複数の状態をとる「重ね合わせ」や、離れた場所にあっても強く結びつく「量子もつれ」といった、古典的直感を超えた振る舞いを示します。
一方、物性とは、そうした量子的な要素が多数集まることで現れる、物質のマクロな性質を探る学問です。 磁性・電気伝導・光応答・弾性など、私たちの身の回りで観測される多くの現象は、電子やスピンの集団的な運動や相互作用から生まれています。
私たちは、この「量子」と「物性」の“はざま”にこそ、まだ誰も見たことのない現象や機能が潜んでいると考えています。 この交差領域を掘り下げていくと、量子論や物性物理にとどまらず、熱力学、統計力学、情報理論、さらには宇宙論にまで通じる深い共通性が見えてきます。 そこでは、これまで別々に扱われてきた問題が交わり、新しい概念が次々に生まれようとしています。
このように境界領域は非常に面白い問題を数多く内包していますが、その探求は決して簡単ではありません。 それは量子の世界はシンプルさを極めようとする一方で、物質の世界は多様性を本質とし、 この相反する二つの世界の境界に何があり、どのようにアクセスできるのか—という非常に難しい問題があるためです。 世界的に見ても、実験でこの難題に取り組む研究者はほとんどいない、と思います。
私たちは、この未知なる領域に、独自の実験手法と理論的アプローチを組み合わせて挑み、 「物質の中に潜む量子」という新たな視点を切り開こうとしています。 興味をもった方は、ぜひ一緒にこの知的冒険に踏み出しましょう!
図1. 量子と物性、そのはざま